COVID-19のインパクトとそれへの対応(その1)


1. はじめに


 今年3月7日の前号ではEPAを既に締結している国との貿易でのTPP11の更なるメリットなどを概観してきました。今号ではTPP11でのメリットを得るための具体的な方法を取り挙げるよう準備していましたが、今般の新型コロナウィルス感染症(Coronavirus Disease 2019: COVID-19)のこれほどまでの急速な拡大とその影響を、私は想像もできていませんでした。

 身体的、経済的に悪影響を受けた多くの方々には、心よりお見舞い申し上げます。

 私もいくつかの海外事業が無期延期となっており、軌道修正を強いられています。メディアでは多くのCOVID-19関連の情報が溢れていますが、将来だけでなく現状さえも良く見えないのが実情ではないでしょうか。今号では、予定を変更して、現状への認識とまず個人が取るべき本質的な対応策を私なりにまとめてみました。感染症の専門家でもない私がなぜこのようなコラムをまとめることにしたのかと言いますと、あまりにも多くの情報が錯綜するなかで、現状がどうなっていて対応策として何ができるのかを整理して皆様と考えたいと思ったからです。


2. COVID-19の感染状況(2020年4月28日現在)


 2020年4月28日現在、COVID-19について世界での感染判明者数(Global confirmed)は3,035,177人、死亡者数は210,610人、米国での感染検査被実施者数(Total tested in US)は5,593,495人です1)。私がいくつかのビジネスを行っているペルーでの感染判明者数(Confirmed cases)は27,517人、死亡者数728人であり、中南米ではブラジルに次ぐ感染判明者数および死亡者数となっています2)

 日本での感染判明者数および死亡者数は毎日報道されていますので、ここでは割愛します。東京都では、4月26日に実施した検査の結果、39名の新規感染判明者が確認されています。あまりマスコミで報じられていないと思うのですが、東京都の「新型コロナウィルス感染症対策サイト」では都内の最新感染動向が毎日更新され、様々な関連情報が提供されています3)。これによると、4月26日に実施した検査数は314人です。これには医療機関が保険適用で行った検査は含まれていないとのことで、東京都健康安全研究センターによる実施分のみとみられます。

 私が特に関心を持ったのは、以下二つの図に示される検査実施件数(累計)、検査実施人数および陽性判明者数(累計)です。東京都では検査実施人数10,702人が検査を平均2、3回受けているようで、それにより陽性が判明した人は3,947人と、検査実施人数の約4割で感染が判明しているのです。巷で騒がれているように方針としては、感染をかなり疑われる対象に限って検査を実施していることが看て取れます。一方、医療崩壊が連呼されていますが、入院者2,668人中、重症者は93人、また陽性判明者(累計)の約4分の1の1,173人が退院しています。

 検査の規模、精度などへの課題から検査数を制限し、実態の分からない状況下で都内には感染していない者と軽症者、無症状者が混在しているだろうことは多くの指摘のとおり容易に推察されます。米国ニューヨーク市では、4人に1人が感染しているとの調査結果が公表されました4)

出典:東京都 新型コロナウィルス感染症対策サイト、都内の最新感染動向、2020年4月28日.


3. 個人が取るべき本質的な対応策とは


 国や自治体が住民の安全や資産を守るべきであるという論調が多いですが、基本的にこれらの方々は社会の秩序を維持することを一義的に重んじていると思われ、私たちは少なくとも自分と家族の命は自助努力で守るべきと考えます。

 それには免疫力を高めて健康を維持することが第一で、次いで生活習慣に留意することかなと考えます。健康法は普通のもので良いと思います。私は大学の先生が書いた著書などを読んで実践することをお勧めします。科学的でありながら、読み易く書かれたものはいくつもあります。


 今号はここまでとして、次号で個人が取るべき本質的な対応策をさらに整理してみます。最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

 みなさんもどうかご無事でありますように。いち早く事態が収束に向かいますように。



1) Johns Hopkins University, Coronavirus Resource Center、2020年4月28日.(https://coronavirus.jhu.edu/)

2) Coronavirus Source Data, Our World in Data、2020年4月28日.(https://ourworldindata.org/coronavirus-source-data)

3) 「東京都 新型コロナウィルス感染症対策サイト、都内の最新感染動向」、2020年4月28日.(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)

4) 「米NY“4人に1人が感染” 調査結果公表」NNN24、2020年4月28日.(https://www.msn.com/ja-jp/news/video/%E7%B1%B3%EF%BD%8E%EF%BD%99-%EF%BC%94%E4%BA%BA%E3%81%AB%EF%BC%91%E4%BA%BA%E3%81%8C%E6%84%9F%E6%9F%93-%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E5%85%AC%E8%A1%A8/ar-BB13hub5?ocid=msedgntp)

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。