COVID-19のインパクトとそれへの対応(その3)

1. はじめに


 皆様いかがお過ごしでしょうか。前号から3か月が経過しましたが、依然COVID-19によるパンデミックは世界的に拡大傾向です。その収束を願ってやみません。前号では、COVID-19への自助的で本質的な対応策の第一として、体の健康を維持することに焦点を当てたお話をしました。手洗いも大切でしょうが、順番から言うと第二は「うがい」ではないかと考えます。対策のお話の前に、各地の感染判明状況から見ていきましょう。


2. 各地でのCOVID-19の新規感染判明状況


(1) 東京

 東京での新規感染判明状況については毎日の報道で皆さんもご承知と思います。下図は日別の新規感染判明者数の棒グラフとその14日間平均を破線で結んだものです。新規感染判明者数の棒グラフだけでも何となく、新規感染判明者数の増加傾向は分かるかと思いますが、その14日間平均などを重ねると、より分かりやすくなると思います。ここ一週間ほどの間では、いわゆる第二波のピークを過ぎているようにも見受けられます。ただし、先のことは分かりませんので、棒グラフと破線が重なるところまでの実績のみを見るのが良いと考えます。

東京都の「新型コロナウィルス感染症対策サイト」1)も4月頃のものと比べるとかなり充実してきました。新規感染判明者数に加えて入院患者の重症者数と検査の陽性率を見ると、把握されているおおよその状況が理解できると考えます。

東京でのCOVID-19の新規感染判明者数

(データの出所:東京都 新型コロナウィルス感染症対策サイト、都内の最新感染動向、1)


(2) 米国

 米国での新規感染判明者数は、4月下旬をピークに一旦減少傾向になりましたが、6月下旬あたりから急速な増加傾向に転じており、7月末あたりを第二波のピークとして減少傾向に転じていることが見て取れます。

米国でのCOVID-19の新規感染判明者数

(データの出所:Coronavirus Source Data, Our World in Data、2)


(3) ペルー

 筆者がビジネスをしているペルーでも、新規感染判明者数は、6月上旬をピークに一旦減少傾向になりましたが、7月中旬あたりから増加傾向に転じています。第二波のピークアウトは未だ予断を許さない状況といえます。累計の感染判明者数は約55万人で世界第7位、100万人当たりの感染者は世界第2位です。経済活動再開のために首都リマでのロックダウンは解除され、自主規制ベースになりましたが、地方部では8月からロックダウンが実施されているそうです。

ペルーでのCOVID-19の新規感染判明者数

(データの出所:Coronavirus Source Data, Our World in Data、2)


(4) 世界

 最後に世界の新規感染判明者数を概観しますと、4月中旬から5月中旬にかけてやや横ばいに推移し、それ以降は再び増加傾向となっていましたが、米国などの新規感染判明者数が減少傾向にあることなどから、増加傾向に鈍化が見られるようになりました。東京では5月下旬あたりの「緊急事態宣言」解除前ぐらいに新規感染判明者数が極めて少数になりましたが、世界でのCOVID-19によるパンデミックの拡大傾向は下図に明瞭に表れています。

世界でのCOVID-19の新規感染判明者数

(データの出所:Coronavirus Source Data, Our World in Data、2)


3. COVID-19への自助的で本質的な対応策: 「適度」なうがい


 COVID-19への自助的な対応策としては、マスク着用、手洗いうがいが奨励されています。手洗いは帰宅時に石鹸などを使って時間をかけて丁寧にやりましょうということで、楽しく時間をかけて手洗いするための「手洗いの歌」が多数紹介されています(例えば、花王ビオレuなど、3))。

 しかし、ウイルスに接触したり、吸い込んだりして直ぐに感染するわけではないので、対策の優先順位としては、まず体の免疫力を維持することで、次にはうがいではないかと考えます。文献4)によりますと、体内に入り込んだウイルスや細菌は、まず鼻やのどの粘膜の細胞に付着しますが、それらには侵入したウイルスや細菌をキャッチして侵入を防ぐ働きが備わっています。具体的には、鼻やのどの粘膜には、線毛という細かい毛が生えており、線毛はウイルスや細菌を捕らえ、蠕動(ぜんどう)運動をしながら捕らえたウイルスや細菌を外へ押し出そうとします。うがいには、線毛に捕捉されたウイルスや細菌を洗い流す効果があるのです。また、のどを適度に刺激するため、線毛の運動に必要な粘液の分泌を増加させるので、病原体を捕捉する能力が増して、病原体の侵入をさらに効率よく防ぐようになるというのです。私も子供の頃から外出後の自宅や外出先などでうがいをする習慣が身についています。

 手洗いも当然必要ではありますが、それに並んで外出先で触ったスマホやサイフ、カバンのファスナなど、屋内でも触るようなら、それらも逐一消毒しなければ、せっかくの手洗いの効果は大きく減じてしまいます。私の知っている方は、帰宅するとすぐに衣服を洗濯し、自身はシャワーを浴びると言っていました。ここまですると、なかなかの対策かも知れませんが、人によってはストレスになるかもしれません。うがいも殺菌効果のあるうがい薬を使うべしとか、最近ある府知事の話からうがい薬の買い占めが起きたというような話もありました。しかし、あまり過敏にならず、体の真ん中から順に対策を取っていくのが良いと考えます。この状態が長引くことも考えて、気長にストレスをためないように過ごさないといけないですね。


1) 「東京都 新型コロナウィルス感染症対策サイト、都内の最新感染動向」、2020年8月20日.(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)

2) Coronavirus Source Data, Our World in Data、2020年8月20日.(https://ourworldindata.org/coronavirus-source-data)

3) ビオレu ハンドシリーズ あわあわ手あらいのうた、2020年8月20日.(https://www.kao.co.jp/bioreu/family/hand/song/)

4) 感染症予防にうがいは効果ある?うがい薬は使うべき?、感染予防ゼミ、(https://kansenyobo-zemi.jp/article/045870/)

中小企業の中南米進出を支援するビジネスコラム

なぜ、今本邦企業が中南米地域に進出すべきなのか。そこは、33カ国の広範囲を領した人口約6億人、GDPは5.1兆ドル(2015年)とASEAN5の約2.5倍で、既に巨大な中間層市場を形成した魅力的な市場です。日本にとっての“地球の裏側”という物理的な距離の遠さを「利用」し、本邦中小企業がビジネスチャンスを生み出し進出するための支援を我々は行っています。